インタラクティブモーショングラフィックスがデジタルマーケティングの新しいトレンドになる理由
インタラクティブなモーショングラフィックスがデジタルマーケティングにもたらす影響。そして、いかにユーザーのエンゲージメントやブランドのストーリーテリングに効果を発揮するのかをご紹介します。
Last updated: February 6, 2024日々進化するデジタルマーケティングにおいて、映像技術の一種であるモーショングラフィックスがよりインタラクティブな手法に変化しています。
インタラクティブな映像は、かつて印刷物からデジタルメディアに変化した時と同じような大きな変化をもたらします。
本記事ではインタラクティブモーショングラフィックスがデジタルマーケティング戦略にもたらす効果について探っていきましょう。
モーショングラフィックスとは?
インタラクティブモーショングラフィックスとデジタルマーケティング戦略の関係について考える前に、そもそもモーショングラフィックスとは何なのか、その技術と現在の活用方法について理解していきましょう。
Meta Connect 2022のイベントのためにBuck Studioが制作したものは洗練された3Dオブジェクトを使用した美しいモーショングラフィックスの良い例だ
モーショングラフィックスとは、情報やメッセージをより伝わりやすくするために動画やアニメーションを使用する技術やアートを指します。
テキストや図形、3Dモデル、写真などのグラフィックな要素を動かし、音声と組み合わせることで視覚的に魅力な訴求をすることができます。
モーショングラフィックスは、静止画やテキストだけでは伝わりにくい複雑なアイデアやコンセプトを直感的に説明することに長けており、視聴者の記憶に残りやすいという効果があります。そのため、マーケティングや教育、エンターテインメント、企業のプレゼンテーションなど幅広い分野で活用されています。
ビジネスでの活用
モーショングラフィックスはビジネスにおいて活用されることが多くあります。それは注目を集めたり、製品やサービスをわかりやすく伝えたり、時にはブランドのストーリーを伝えたりするためです。
GoogleのAdvanced Protection Programではモーショングラフィックスが説明動画として使われている
ビジネスの場面で活用されているモーショングラフィックスはテレビのCMやインターネット広告、ソーシャルメディアコンテンツやデジタルサイネージなど生活のあらゆる場面で見られます。
このように現代では視聴者にとって有益で視覚的に魅力なコンテンツかつ消費者に伝わりやすいマーケティング戦略としてモーショングラフィックスが使用されています。
そんなモーショングラフィックスにおける最大のトレンドはリッチな3Dモデルとパーティクルエフェクトです。
これらの技術はアニメーションをよりリアルでダイナミックなものにすることで、見入ってしまうような没入感を提供します。
リッチな3D表現とはリアルなテクスチャや自然な照明の当たり方、周りの環境などをシミュレートすることで、視聴者を引き込む要素の一つである臨場感を演出します。クオリティの高いディテールは製品の特徴やデザインを忠実に再現することができ、新製品発表会やショーケースを行う際に非常に役立ちます。
Huawei Mate50 RSの広告動画は高度な3Dモーショングラフィックスを使用し製品の特徴であるパワーと上品さを表現している
一方、パーティクルエフェクトは多数の小さな粒子を動かして視覚的な効果を生み出す技術です。この技術は煙や火、水、光、魔法のエフェクト、星空などの抽象的な自然現象をリアルタイムまたは非リアルタイムの映像に表現します。
パーティクルエフェクトはモーショングラフィックスをより芸術的に見せることができ全体的なクオリティと映像美のアップに効果をもたらします。さらに、パーティクルによって背景がよりダイナミックになったり、ロゴをより面白い表現で伝えたり、あるいは重要なメッセージを強調することができます。
このようにリッチな3D表現とパーティクルエフェクトをモーショングラフィックスに活用することで、宣伝効果やユーザー体験の質を高めたコンテンツを制作する事ができます。
これらの高度な技術を使用することで、クリエイティブで革新的なデジタルマーケティング戦略を行うことができ、ブランドを市場で際立たせることに繋がります。
なぜ、インタラクティビティが重要視されているのか?
近年、インタラクティブという言葉をよく耳にします。なぜインタラクティブなコンテンツが重要視されているのでしょうか。デジタルマーケティング戦略においてユーザーエンゲージメントは重要な指標の一つです。インタラクティブモーショングラフィックスはこの点において非常に重要な役割を担い、消費者とコンテンツの関係に違いを生み出します。
インタラクティブ性の重要度を理解するために、映画とゲームの二つの業界を比較しながら考えていきましょう。
歴史において長い間、映画はストーリーやメッセージを伝えるための一番メジャーなコンテンツでした。映画が提供するエンターテインメントは受動的なコンテンツでありながらも観客を魅了し、絶対的なコンテンツとして知られていました。
しかしながら近年では、市場規模においてゲーム産業が映画産業を圧倒的に上回っています。この変化は映画にはない没入体験を提供するゲームコンテンツのインタラクティブ性が要因であるとされています。
出来上がった作品を受動的に鑑賞する映画とは異なり、ゲームではプレイヤー自身が物語や結果に影響を与え、決断し、リアルタイムでコンテンツの次の展開を決めることができます。
このような消費者とコンテンツの関係が高いエンゲージメントを生み出し、記憶に残る体験を作り出すのです。
Detroit Become Humanはユーザーがストーリーや登場人物を選択するインタラクティブ要素を持つゲームの一例である
デジタルマーケティングにおけるWebの影響力
我々が現実世界において、ものに触れることでなんらかの反応を得るように、インタラクティブモーションはデジタル上で人々のアクションに反応し、思わずシェアしたくなるような記憶に残る体験を生み出します。
Webはアニメーションやオーディオなどユーザーとのインタラクションをシームレスに行うことができる重要なタッチポイントです。他のメディアやコンテンツとの相性も良く、インタラクティブモーショングラフィックスにとって理想的なプラットフォームとなっています。
さらに、ダウンロードやインストール、プラグインの作業を必要とせず、非常にアクセスがしやすいプラットフォームです。消費者はURLやQRコードをスキャンするだけでアクセスすることができ、デジタルマーケティング戦略においても最も活用されているツールの一つです。
アクセスがしやすいウェブサイトですが、通常ユーザーがウェブサイトに費やす時間はわずか20秒~40秒です。一方でクリエイティブでインタラクティブなウェブサイトはユーザーが大幅に長く滞在することがわかっています。さらにインタラクティブ性の高いウェブサイトは滞在時間を延ばすだけではなく、コンテンツがシェアされる可能性を高めることにも繋がります。
というのも、ユーザーがウェブサイトに滞在すればするほど、そのウェブサイトで紹介されている商品やブランドが頭に残り、長期的なブランドの認知度やロイヤリティに良い影響を及ぼすのです。
15年前のFlashの時代からずっと、Webはより洗練され複雑なアニメーションや3D表現、パーティクルエフェクトを実現するために進化してきました。そのおかげで現在ではネイティブアプリケーションにしかできなかった没入感のある体験をクリエイティブウェブサイトで実現することができています。
マウスやトラックパッドを使って何千ものドラゴンとリアルタイムでのインタラクションが楽しめるインタラクティブウェブサイト
インタラクティブモーショングラフィックス:Webの挑戦
インタラクティブモーショングラフィックスとはダイナミックで魅力的なコンテンツとインタラクティブ性をユーザーに届ける技術革新です。
コンテンツ上の全てのグラフィックや要素はユーザーのマウスの動きやクリック、スクロールに反応し動き回ります。これにより、従来の受動的なアニメーションの視聴を超え、没入感と記憶に残る参加型の体験を生み出します。
ここからは、ウェブ上で表現されるインタラクティブモーショングラフィックスがどのようにユーザーのエンゲージメントを高めるのか、例を見ながらアイデアを出してみましょう。
iPhone 15 Proの製品発表
iPhone 15 Proの製品発表をインタラクティブモーショングラフィックスを活用してWeb上で宣伝してみるとしましょう。
ユーザーが「titanium」の文字の上にマウスカーソルを乗せると、まるで風に飛ばされたかのように粒子が反応します。これは素材の軽さを表現するためです。
さらに、Webサイトをスクロールするとデバイスを様々な角度で見ることができ、マウスを動かすことでデザインを詳しく確認することができます。
このようなインタラクティブなアプローチは消費者に体験価値を与えるだけでなく、商品の特徴や良さを直感的に伝えることにも大いに効果を発揮します。
LA COLLECTION PRIVEE - NEW LOOK by Christian Dior: A Sensory Web Experience
煙や液体と音楽で構成されているDiorの広告はウェブ上でのインタラクティブ体験にたくさんのインスピレーションを与えてくれます。
この広告をウェブに置き換えてみましょう。まず、スクロールをすることで香水の瓶が画面上を移動し、ブランドをイメージした世界観にユーザーを引き込みます。
ユーザーはマウスを動かすことで煙とのインタラクションを楽しむこともできる
香水の瓶をクリックすると商品の詳細が表示され、3Dのカメラワークがズームを始めます。同時に音楽が流れ始め、スクロールをするにつれて静かな音楽からよりリッチな音楽へと変化していき、より深い体験へと誘います。
BGMは最初は静かな音で構成されていますが、より複雑さを増し、ユーザーの操作によって様々な楽器がミックスされていきます。さらにホバー効果音(SFX)がBGMの音質に変化をもたらし、インタラクティブな体験を耳で体験する事ができます。
ストーリーテリングとパーソナライズされた体験を提供するためにウェブサイトの終わりにインタラクティブなポストカードを採用するのはどうでしょう。
ユーザーに好きな香水瓶を選んでもらい、友人へのメッセージを書いてもらうのです。このメッセージは3Dの香水瓶と花びらを使った動くアートと共に表示され、高級感と上品なコンテンツとなります。
最後に共有できるような仕組みを用意して、ソーシャルネットワークで簡単にシェアできるようにすることで、インタラクティブコンテンツ全体のリーチと認知度を拡げることができます。
このような一貫してインタラクティブな体験を提供するウェブサイトはユーザーのエンゲージメントを向上させるだけではなく、唯一無二なパーソナライズされた体験を通してブランドが伝えたい価値観やストーリーを伝えることができます。
キャラクターに息を吹き込む
Web上でミニオンとコミュニケーションが取れたら面白くないですか?子供はもちろん、大人にも大人気なキャラクターとリアルタイムで交流できるコンテンツはどうでしょうか。
デバイスのカメラにアクセスできるようなウェブの機能を活用すればミニオンがユーザーの顔の動きを真似してくる、というような非常にユニークでインタラクティブなアニメーションを開発することができます。
ウェブサイト上で100体のミニオンがあなたの表情、笑顔や怒り顔、驚きの表情を映し出し、みんなで楽しいインタラクティブな体験が生まれることを想像してみてください。表情が豊かなミニオンたちと一緒に思わず笑顔になってしまう体験が思い浮かびます。
さらにインタラクティブな体験に仕上げるために、マイクを使って声を変えてみたらどうでしょう。
ユーザーが話すとミニオンのユニークな声に変化し、その驚きと特徴的な声に魅了され、何度も話しかけてしまいます。
他にも、ブランド名をユーザが言うと特別なアニメーションをアンロックしたり、ウェブサイト限定のキャンペーン企画に参加できるなど、よりロイヤリティの高いユーザー体験を提供することもできます。
フェイストラッキング技術がインタラクティブな体験を可能にする
このようなインタラクティブな体験は新しいアニメ映画やおもちゃの宣伝、もしくはブランドとキャラクターのコラボレーションを宣伝する際に素晴らしい付加価値となります。似たようなコンテンツが溢れている現代にとって、特別なデジタルマーケティング戦略を可能にするのです。
インタラクティブモーショングラフィックスは単に記憶に残るだけでなく、消費者とブランドの関係を深め、より長い年月でのエンゲージメントやロイヤリティを高めるものへと繋がります。
このように、革新的な可能性があるインタラクティブモーショングラフィックスですが、開発する際の技術的な困難に直面しています。通常、インタラクティブなコンテンツをWeb上で構築する場合、WebGLと呼ばれるテクノロジーが使用されます。しかしながら、このテクノロジーは10年以上前に発表されたものであり、AIやApple Vision Proなど急速に進化するIT業界で最新のデバイスに対応していない場合があります。
それによってパフォーマンスが低下したり、バッテリー消費の増加、クオリティの制限など最適とは言えないユーザー体験が提供されていることがあります。
WebGPU:最新のインタラクティブモーショングラフィックス
WebGPUはこれまでWebGLで見られた様々な課題を解決するために生まれた最先端テクノロジーです。 Web上のコンテンツにこれまでにないパフォーマンス能力を提供し、インタラクティブなモーショングラフィックスの新たな可能性を引き出します。
この最先端テクノロジーはウェブグラフィックスのクオリティを高画質の3Dアニメーションに匹敵するほど高め、美しくて臨場感あふれる体験の創造を可能にします。
WebGPUの効率性とパフォーマンスの向上は単に、リアルを忠実に再現したビジュアルだけではなくデジタルマーケティング戦略において重要な役割をするAIの導入をも可能にします。
これにより、アニメキャラクターとのインタラクティブなやり取りや会話、AI音声によるウェブサイトのガイダンスやサポートなど、直感的かつ効果的なデジタルインタラクションが実現できます。
つまり、WebGPUのような最新技術を活用したインタラクティブモーショングラフィックスがブランドと消費者の関係構築に大きく関わる。デジタルマーケティングの新時代が始まっているという事が言えます。
新しいデジタルマーケティング戦略では、リッチで没入感のあるウェブ体験を提供するだけでなく、AIを活用したユーザーとの関係構築やデータ分析など様々な戦略と結びつける事ができるのです。
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他にはない、ここだけのユニークなデジタルコンテンツでブランド価値を創造しましょう。